2025.04.10
<国内優先権主張出願>
(どんな制度か)
・既に日本国内に出願した発明の改良発明を、日本国内に出願する際に用いられる制度。
・既に出願した特許明細書に新たにした改良発明の部分の記載を追加し出願することで、既に出願した特許出願と新たにした改良発明に係る発明を一纏めにするもの。
・一纏めにしても、既にした特許明細書に記載された発明は、元の出願日が担保されるので安心。
・これに伴い、既に出願した特許出願は、見做し取下げとなる。
(どんなメリットがあるか)
・審査請求の対象とする特許出願は、1つで済むので、審査請求料等が1回分で済むので費用の節約となる。
・発明の管理が容易となる。
(国内優先権主張出願ができる期間)
・先の出願を行ってから原則1年以内。
・ただし、例えば先の出願が取下げられていたり、査定(拒絶・特許)が確定されている場合は、ダメ(特許法第41条第1項第二号~五号)
*特許査定が確定するのはいつか?
・特許査定通知を受け登録料を支払い登録原簿に登録された日。
・特許権は、設定の登録により発生する。(特許法第66条第1項)
<パリ条約による優先権主張出願>
(どんな制度か)
・既に日本国内に出願した発明を、外国(パリ条約加盟国)に出願する際に用いられる制度。
・その際、国内優先権制度の場合のように、改良発明を追加しても良い。
(どんなメリットがあるか)
・外国に出願するには現地語に翻訳する必要があるが、パリ条約による優先権主張出願制度を利用すれば、とりあえず日本に出願しておき、1年以内に外国に出願すれば良いので、翻訳期間を稼ぐことができる。
・日本で早期審査請求をし、結果(特許の可能性)を見てから外国へ出願するか否かの判断をすることができるので、費用節約ができる。
・ただし、これらのメリットは、PCTルートによる出願でも同じ。
・パリルートとするか、PCTルートとするかは、移行希望の外国の国数次第。3ヶ国以上であればPCTルートの方が通常割安。2ヶ国の場合は、ケースバイケース。
*国内優先権主張出願では、例え1年以内であっても、先の出願が査定された場合、優先権主張出願ができなかったが、パリルートではできる?
・パリ条約では、1年以内に出願された、日付を確定できる正規の出願であればよいとされているので、「できる」。(パリ条約第4条)