特許取得のメリット

三鷹深大寺特許事務所

特に、後発企業が特許を取得するメリットとは。(2025.4.26)

 特に、後発企業が特許を取得するメリットは、一言でいえば、「いち早く市場のトップランナーに追いつく材料となり得るから」、です。以下、詳細に説明します。

 

 特許を取得する一般的なメリットは、

  1)自社技術の保護

  2)他社侵害時に差止、損害賠償が可能

と云われています。

 ただし、これはあくまで一般的なメリットであり、特に大企業が特許を取得する原動力となっています。

 それでは、大企業はどういう技術(発明)に対して,特許を取得しているかというと、実はそれほど画期的な発明でなく、既存技術に多少改良を加えた小さな発明がほとんどです。

 つまり、それだけノーベル賞に値するほど、画期的な技術を発明することは、極めてレアなのです。

 

 なかなか画期的な技術を発明できないのは、中小企業においても同様です。

 中小企業等の場合、高い費用を支払ってまで、上記1)、2)の権利を取得する価値はないと考え、多くの場合、折角の発明の権利化も活用もせずに過ごしています。

 小さな発明に対し、大企業では特許を取得し、中小企業では特許を取得しない、そこが両者の相違であり、一見、それぞれの判断に誤りはないように見えます。

 

 しかしながら、実は小さな発明であっても、充分に活用できる道はあります。

 それは、市場を先行する大企業の製品の持つちょっとした課題、例えば使い辛さを改善するような特許を取得することです。技術を1から開発するのは大変なことですが、既存の技術に+αさせる技術を考案することは、ぐっとハードルが下がります。実際、多くの中小企業において、実行しているのではないでしょうか。

 この+αの発明のことを、「利用発明」といいます。優れた利用発明であれば、大企業も使いたくなる、場合によっては、使わざるを得なくなります。この利用発明を権利化しておけば良いのです。

 大企業は、貴社の特許を無視できなくなります。

 実は、大企業が小さな改良技術について、多くの特許を取得しているのは、この理由からなのです。決して、開発者の評定のためだけということではなく、企業としての経営判断がきちんと働いているのです。